★2020年12月1日★

幼児期から始める、主体的・対話的で深い学び

新型コロナウイルス感染症一色の一年だったように感じる2020年も残りわずかですね。

そんな2020年は、新しい学習指導要領が適用された「教育改革の年」でもありました。

「学習指導要領」とは、全国である程度の水準の教育を提供することを目的として、文部科学省が定めているカリキュラムのことをいいます。この学習指導要領をもとに、時間割や教科書の内容が決められます。

今回導入される学習指導要領では、「生きる力」のその先の力を育成する「社会に開かれた教育課程」を実現するために主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)が重要視されるようになりました。

そもそも幼児期の子供たちは、自分がやりたい、自分でできるようになりたいという意欲に満ちています。

この、できるようになりたい、わかるようになりたいという意欲が、後の学びの姿に直結します。

でも、最初は一人ではできません。一人でできるようになるためには、適度なサポートが必要なのです。大人の出番ですね。では、適度なサポートとは何でしょうか?

「まだできないから」「子どもがやると後で大変だから」と、先回りをして大人が代わりにやってしまうと、いつまでたっても自分でできるようになりません。

そうするうちに、「どうせできないから」「大人が代わりにやってくれるから」と、意欲は萎んでいってしまうのです。

「敏感期」とは、幼児期におけるある特定の事柄に対して強い感受性が表れる、特定の時期のことをいいます。「敏感期」にある内は、その特定の事柄は、簡単に吸収されるのですが、その時期が過ぎるとその感受性は消えてしまいます。ですから「敏感期」に適した環境づくりはとても大切です。

同じことを何度も繰り返したがるお子さまの姿を見て、「一体、何がおもしろいの?」「この子大丈夫かしら?」「いい加減にして欲しい…」なんて思ってしまうことありませんか?

でも、そこに敏感期が隠れているとしたら見逃せませんよね。

この時に大切なことは、目の前のお子さまはその活動のどの部分に魅力を感じているのか、何ができるようになりたいのかということです。それを知るためには、普段からお子さまをよく観察する必要があります。

例えば、コップをよくひっくり返す時期のお子さまの姿…

お水が注げるようになりたいのかもしれませんし、手首を返す動きを洗練させたいのかもしれません。お水がピチャピチャとはじける様子や音が楽しいのかもしれません。中のお水を触りたいのかもしれません。

やって欲しくないことであれば、普段の観察を頼りに仮説を立て、魅力的な部分が体験できる代案を提供すればよいのです。

発達には順序性や方向性があるので、ある程度の予測は立てられます。でも、目の前のこの子の敏感期は、他の誰とも違うのです。集中して楽しんでいるのであれば、邪魔をせずそっと見守ることも大切です。

ひとりひとりの敏感期に合った環境をつくるためには、他人との比較は意味を成しません。

幼児期に個を尊重された経験は、主体的・対話的で深い学びにつながっていきます。

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プロフィール

まーりんコラム

モンテッソーリ教室 マヴィのおうち

代表 桑原眞理子

 

・日本モンテッソーリ教育綜合研究所認定 3−6歳教師

・日本野菜ソムリエ協会認定 野菜ソムリエプロ     

大学卒業後、食品メーカーを中心に商品開発·マーケティング職に従事。「こども哲学」との出会いをきっかけに子どもの斬新な発想に魅せられ、子どもの力を社会に届けたいという想いからモンテッソーリ教育を学ぶ。幼児期の経験がその後の人生の基盤となることから、モンテッソーリ教育のエッセンスをご家庭に楽しく取り入れていただくための情報発信・コミュニティづくりに取り組む。

マヴィのだいどころ

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