2022年3月の台所モンテコラム

★2022年3月1日★

モンテッソーリの小学校課程

3月になりました。いよいよ卒園・卒業シーズン到来ですね。キンダークラスを巣立っていくお子さまを送り出す時期になりました。

モンテッソーリ教育というと、幼児期の教育をイメージする方が多いかもしれません。
実際、日本でモンテッソーリ教育の小学校課程が受けられる施設はごく僅かです。
でも、欧米では幼児期に限らず、児童期以上の環境も広く普及していることをご存知ですか?
マヴィのおうちは、開室から2年半が経ちました。来年度から卒業生たちと学び続けられる「探求プロジェクト」の模索を本格的に取り組むことといたしました。

そこで今回は、日本ではまだあまり知られていない「小学校課程(低学年)」の魅力や考え方についてお話いたします。

幼児期には、一人一人の「敏感期」に合った環境で「個」を尊重されて育つことで、少しずつ「自分」を知っていきます。この「感覚を通して動きながら学んでいる」幼児期は、それぞれ独立して活動することを好んでいました。
児童期になると、「自分」と「他人」の区別がはっきりとできるようになってきます。「自分」以外の視点があることを理解できるようになり、友だちの存在が大きくなって活動を共にすることを好みます。
児童期は「想像力を使って世界を理解することにも興味が湧いてくる時期です。ですから、モンテッソーリ教育では児童期になると「広い世界を経験し、理解できる環境づくり」が重視されるようになります。

想像力が豊かになり、抽象的な世界が理解できるようになってきたものの、まだまだ手を動かして具体物を操作する学び方も大切な時期でもあるのが低学年のようです。
色を塗ったり、絵を描いたり、文字を書いたり、組み立てたり、具体物に触れて操作しながら、より抽象度の高い世界の理解に繋げていきます。
現在、1年生と4年生の姪が「お姉さん先生」としてキンダークラスのサポートをしてくれているのですが、特に1年生は、その日のクラスの様子を尋ねるとノートに書いてまとめたがります。本当に、手を動かして活動することが大好きだなと感じます。

知識偏重から、思考力重視へと教育のパラダイムが変わりましたね。児童期の子どもに対して大人がすべきことは「興味の種を蒔くこと」だとモンテッソーリ教育では言われています。そうやって「思考力を育む」のがモンテッソーリ教育の小学校課程なのです。
幼児期に、自分で選択した活動を満足するまで繰り返し取り組む経験を積み重ねていると、学ぶサイクルが身についています。「もっと知りたい」という情熱を着火させるきっかけを用意して、それを知るために様々なやり方があることを先人の知恵として授けさえすれば、幼児期に身につけた学び方を活かして自力で学びを深めていきます。

「想像力」を持つ児童期の子どもたちに向けて、興味の種を蒔くためにモンテッソーリによって考案された最も大事な5つ(「物理」「生物」「歴史」「言語」「数」)の物語があります。これは、グレートストーリーと呼ばれています。
モンテッソーリ教育では、それぞれの分野の一番最初に、このグレートストーリーを通してその分野で学ぶことの大きな枠組みを示すことで探究心に火をつけます。そして、
「世界はどうやってできたの?」
「私たち人間はどうしてここにいるの?」
子どもたちから湧き出る問いが出発点です。それを解明する方法を示していきます。
 1. 物理:宇宙のものがたり
 2. 生物:いのちのはじまり
 3. 歴史:人間のはじまり
 4. 言語:文字のものがたり
 5. 数学:数字のものがたり
最近は、4月から始まる探求プロジェクトの準備として、デモンストレーションの練習に姪たちを付き合わせてしまうことが増えました。「今日もお楽しみ会だね!」と喜び、「どうして・・・?」という問いがどんどん生まれています。

食の科学の魅力についても伝えたいし、マーケティングの本質についても一緒に考えたいし・・・
もはや、私が楽しくて仕方なく・・・探究心が尽きません。