“待つ”ことから始まる秋

私ごとではありますが、長い入院生活のなかで、思うように動けない日が続いていました。
けれど、その時間は「問いを温める」練習のようでもありました。
すぐに結果を求めず、ただ待つ。
すると、少しずつですが、違う景色が見えてきました。

秋は「待つ季節」

稲が実るのを待つ田んぼ、色づくのを待つ山の木々。
自然は急がず、それぞれのペースで変化していきます。

子どもも同じです。
「なんで?」「どうして?」という問いに、すぐに答えを与えると、
そこで思考は止まってしまいます。

でも、一緒に“待つ”ことで——
・子どもは自分で考え、試すチャンスを得られる
・親は子どもの視点を知る時間を持てる
・答えそのものより、探すプロセスを楽しめる
こんなにたくさんの「実り」を体験できるのです。

「待つ」は大きな挑戦⁉︎

とはいえ、待つことは大人にとって大きな挑戦です。

そこでおすすめなのが、「時間を区切る」工夫。
たとえば心の中で「10数えるまでは声をかけない」と決めてみる。
あるいは「子どもの表情や手の動きに注目してみる」。
それだけで、待つ時間が意味のある時間に変わっていきます。

モンテッソーリ教育では、“待つこと”も大人の大切な役割のひとつです。
大人が待てるからこそ、子どもは自分の力を試し、考え、発見していけます。
待つあいだに生まれた小さなひらめきや達成感は、秋の実りのように、次の学びへとつながっていきます。

この季節、子どもの問いや行動に出会ったら、ひと呼吸おいて“待つ”ことを意識してみませんか。
ほんの数秒の余白が、親子に新しい気づきを運んでくれるはずです。

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