子どもの自由を尊重するって!?
モンテッソーリ教育のデメリットとして心配される「協調性のない子」にならないかという懸念・・・
「自由を尊重すること」と「何でもやりたいようにさせること」の違いが曖昧だと、こういったデメリットを想起しがちなのではないかと思っています。
モンテッソーリ教育で尊重されている自由は「制限の中の自由」と言われています。
つまり「自由」を手に入れるには、平和で調和の取れたのコミュニティを維持するためのルールが守れることが大前提なのです。
一方で、「自由」と混同されてしまいがちな「何でもやりたいようにさせること」は、言い換えれば「放任」です。ここを間違えてしまうと、おうちモンテがうまくいくことはないでしょう。
ルールを守ることができるのは
いつから?
「自由」を手に入れるために
ルールを守る責任があるといっても、
決まりやルールを守る力が芽生えるのは4〜5歳です。
それ以前のお子さまに
「ルールを守りなさい」と言っても、
それを理解をするのは難しいです。
だからといって、
「あれはダメ」「これはダメ」という制限は過干渉・・・
「ダメ」で終わるのではなく、
「やりたいこと」をとことんできるような環境
をつくるにはどうすればよいかを考えることが大人の役割になります。。
大人がちょっとした配慮をできるように、
必要な知識を備えておくことが大切ですね。
自分で選択することから始まる
「ルールを守らせるにはどうすればよいか」
を考えるよりも、
自分の決断に責任を持つ経験を大切にしてください。
そのためには、
「自分で選択する」ための選択肢を提示することも大人の役割です。
「あれもこれも好き勝手にやって、
尻拭いは大人にしてもらう」
なんて経験を繰り返していても、規律は育まれません。
例えば、
「使い終わったものは、元の場所に戻す」
という約束を守ることができないなら、
- 元の場所に戻して次の遊びをする
- お片付けは大人がする代わりに、遊びは終わりにするか
を提示して、お子さま自身に決めてもらうのです。
もし、②を選択したのであれば、
どんなに泣き喚いても遊びは終わりにします。
それが、自分の選択に責任を持つということです。
自由を尊重するために必要な
「整えられた環境」
自分でできるようになりたくて夢中になる子どもの姿。
それは、
発達に適した活動ができる魅力的な環境で、
自由に選択することから始まります。
モンテッソーリ教育の環境は、
そのために準備されている「整えられた環境」
だからこそ自由が保証できるとも言えます。
おうちは、大人も子どもも共存する生活の場です。
子どもだけのものではありません。
ここにも、おうちモンテの難しさがあるのではないでしょうか。
だからといって、どうぞおうちを教室にしようとしないでください。
「整えられた環境」づくりのポイントは、
- お道具は、子どもが扱いやすいサイズの本物
- 清潔で、美しいこと
- 今本当に必要な活動は何かを見極める大人の眼
なのです。特に③にはゴールがありませんね。
モンテッソーリ教育のエッセンスを適度に取り入れ、
大人も子どもも心地よい環境を探究すること
を楽しむ姿勢が大切だと思っています。
1977年生まれ、東京都八王子市出身。プロフィール
ママヴィまなびのキ 代表|桑原 眞理子
工学院大学 工学部 応用科学科卒。
企業での商品開発・マーケティングに17年間従事し、暮らしに寄り添う価値づくりを追求する中で、子どもたちの自由な発想と出会い、「子どもの力を社会に届けたい」と強く感じ、教育の道へ。
モンテッソーリ教育を学び、2019年より東京都府中市にてモンテッソーリ教室「マヴィのおうち」を主宰。保育士資格と実践経験を活かし、家庭教育支援と探究的な学びの場づくりを行ってきた。
現在は、「五感をひらく暮らし」と「問いを育む学び」をかけ合わせた「古民家留学こどもMBA」を展開し、地域の自然や文化と出会うリアルな探究体験を届けている。
自らもがん闘病の中で“今を生きる問い”と向き合いながら、教材開発や社会起業へと挑戦中。教育を社会インフラとして広げることをビジョンに掲げ、子どもたちに“わたしを生きる力”を届けるための実践を重ねている。
【資格・活動】
日本モンテッソーリ教育総合研究所認定 3-6歳教師
保育士
日本野菜ソムリエ協会認定 野菜ソムリエプロ
Mariko Kuwabara
Montessori-based / Japan
Learning starts with “ん?” not “Aha!”