先日、金ビーズのグループ提示に特化したレッスンを実施しました。
金ビーズとは、1〜10までの数を理解した次のステップとして、十進法の構成を理解するための算数教具です。ビーズという具体物を使って、身体を大きく動かしながら感覚的に位取りを学ぶことができます。
私が一番好きな算数教具ということもあり、私自身も金ビーズをじっくりと楽しめる時間になりました。
そこで今回は、この金ビーズについてご紹介いたします。
1〜10の次に学ぶ量
モンテッソーリの算数教育を学んで
驚いたことのひとつに
おしごとを紹介する順序があります。
数に興味を持ったら、
まず初めに0〜10までの量と数字、数詞に
様々な角度から親しむところから始まります。
ここまでは、じっくり深めるんだな…
と感じただけだったのですが、、
次のステップで、
いきなり四桁の数字を紹介することに驚きました。
その理由を簡単に説明すると…
10と11の違いより、
10と100の違いの方が感覚的に捉えやすいからです。
金ビーズは、
その名の通り金色のビーズでできています。
ビーズ1粒を10個繋げた棒状の「10のビーズ」
「10のビーズ」を10本並べた平面の「100のビーズ」
「100のビーズ」を10枚重ねた立体の「1000のビーズ」
視覚的にも、手に持った重さも
明確に違うから、分かりやすいのです。
そして、
位取りを理解すると数の世界が一気に開ける
ということを
金ビーズを楽しむ子たちを見ていて感じます。
具体から抽象へ
モンテッソーリ教育の重要な流れの一つに
「具体から抽象へ」というものがあります。
そもそも、数の世界は非常に抽象的です。
そして
頭の中だけで考え、情報を整理するのは
幼児期には特に難しいこと。
だから
抽象的な世界を理解するために
モンテッソーリ教育では、
具体的な「活動」から徐々に抽象度を高めていく
という流れをとっています。
徐々に抽象度を上げていくことで数概念が養われていく
という、非常に画期的なシステムなんですね。
数字カードの色の意味
金ビーズとセットで使う数字カードにも
様々な工夫がなされています。
1〜9は 緑
10〜90は 青
100〜900は 赤
1000〜9000は 緑
と色分けされたカードを用います。
この色分けによって、
位取りが意識できるだけでなく
数量を素早く数えるサポートにもなっています。
ここで私がハッとしたのは、
1と1000が同じ緑色であることでした。
アラビア数字では、
3桁ごとにカンマで区切るルールがありますね。
欧米式の数の区切り方です。
金ビーズでも、
一粒のビーズと千のビーズの塊は、
どちらも縦横高さが等しい立体です。
それが10個集まると「棒状」に
棒状のものが10本集まると「平面」に
平面が10枚集まると「立体」に
3桁で繰り返されていることに気づきます。
ダイナミックな四則演算
金ビーズのすごいところは、
数を操作する様々な体験ができるところにあります。
例えば、
1のビーズが10個集まったら10のビーズと交換
10のビーズが10本集まったら100のビーズと交換
100のビーズが10枚集まったら1000のビーズと交換
これで「繰り上がり」を学ぶことができます。
また、
10のビーズを1のビーズ10個と交換
100のビーズを10のビーズ10本と交換
1000のビーズを100のビーズ10枚と交換
これで「繰り下がり」を学ぶことができます。
「繰り上がり」や「繰り下がり」の体験は、
銀行あそびという活動を通して
ゲームのように楽しむことができます。
こうやって、
ひたすら金ビーズに親しんでから
この金ビーズで四則演算を紹介します。
全身を使った体験だからこそ、
生き生きと数の世界を楽しむようになっていきます。
と・・・
ここまで熱く語ってしまいましたが、
金ビーズを使えば誰でも楽しく数の世界に親しめる
という訳ではありません。
それぞれに適したタイミングがあります。
そして、
その子のベストタイミングで引き合わせるには、
大人の観察する力が重要になります。
これからも謙虚な姿勢で、
ひとりひとりのタイミングと向き合っていきたいと思っております。
プロフィール
ママヴィ 代表|桑原 眞理子
大学卒業後、食品メーカーを中心に商品開発·マーケティング職に従事。
「こども哲学」との出会いをきっかけに子どもの斬新な発想に魅せられ、子どもの力を社会に届けたいという想いからモンテッソーリ教育を学ぶ。
子どものマーケティング思考を育む6歳からの体験型キャリア教育プログラム「こどもマーケター入門」を開発し、ワークショップ等を開催。現在は「モンテッソーリ教室 マヴィのおうち」を拠点に、マーケティング思考で自ら変化を起こすチカラを育む環境づくりに取り組む。
・日本モンテッソーリ教育総合研究所認定 3-6歳教師
・保育士
・NPO法人こども哲学 おとな哲学 アーダコーダ 理事(哲学対話ファシリテーター)
・日本野菜ソムリエ協会認定 野菜ソムリエプロ