23年8月のモンテコラム 「児童期の学びを支える「ゴーイングアウト」」

★2023年8月1日★

児童期の学びを支える「ゴーイングアウト」

夏休みが始まりましたね。
マヴィのおうちのエレメンタリー(小学生)クラスでは、
前期の探求が佳境を迎え、それぞれが選んだテーマと向き合って、試行錯誤しています。

子どもたちからは、夏休み期間に博物館に足を運んで学びを深めるというお話も聞きました。
今回は、小学生以降に図書館や博物館など、課外学習によって自ら学び・計画・実行する力を育むために、大人はどう関わっていったらよいかについてお話させていただきます。

モンテッソーリ教育では、
児童期の子どもたちが計画・実行する課外学習のことを「ゴーイングアウト」と呼んでいます。

幼児期には、
おうちや、お教室の環境の中で
「自らをつくること」に夢中になってきました。

それが児童期に入ると、
友だちとの交流から学ぶことを好み、
より広い世界に関わりたい
もっと深く知りたい という意欲も高まります。

すると、おうちやお教室の環境だけでは物足りなくなり
外の世界を求めるようになることから
自分たちで「ゴーイングアウト」を企画して、出かけます。

でも…

外の世界に飛び出すには、
幼児期以上に世の中のルールを知っておく必要があります。

・知らない大人との話し方
・自分たちが知りたいことに合致した施設をどうやって調べたらよいか
・施設を利用する際の決まりごとは何か
・公共交通機関の利用の仕方
・電話のかけ方
などなど

それらを、最初は大人に伴走してもらいながら
徐々に自分たちでできるように学んでいくことが、
ゴーイングアウトの目的です。

小学生になったからといって、
いきなり外に飛び出せる訳ではありません。

おうちや、お教室で
危険な行動や、無責任な態度を取るのであれば、
ゴーイングアウトの準備ができているとは言えないのです。

つまり、自分の行動に責任を持つ基礎を
幼児期から身につけておく必要があります。

 


夏休み期間は、様々な体験から学ぶチャンスです。

ただし…
必ずしも大人が描いたシナリオ通りに興味が芽生えるとは限りません。

むしろ、「何でそんなことに…」と
大人からするとしょうもないようなことに夢中になることの方が多いのかもしれません。

幼児期は
自分で選択した活動をとことんやり切る経験
を大切にしたい時期です。

そうやって自己を確立していきます。
それは、自分の行動に責任を持つことにもつながります。

ですから、
「⚫︎⚫︎に興味を持たせたい」とか
「⚫︎⚫︎を学ばせたい」など
大人の価値観でイベントを評価しないことも大切です。

お子さまの興味を起点に、
それに関連する次のステップを一緒に探すことから始めたいですね。

その時に私が大切にしていることは、
「何に興味があって、何を知りたいのか」を
具体的に言語化していくプロセスです。


「何に興味があって、何を知りたいのか」

それは、スゴイことを言って褒められたいとか、
誰かを喜ばせたいとか、
他人のための興味・関心ではありません。

自分の内側から湧き出てくるものです。


お子さま自身で具体的にすることが難しければ、
気持ちに寄り添いながら
スモールステップで、根気強く問い続けます。

この時間をとにかく大切に考えています。


具体的に言語化できるということは、
自分の興味・関心を明確にイメージできるということ

とことん自分と向き合うことで、
学びは自分ごとになります。

すると、
学ぶことが楽しくて仕方なくなります。

まずは、そこを目指します。

 

次のステップは、
図書館に行って本で調べることかもしれません。

博物館に行って、
実物やレプリカを見ることもできるかもしれません。

専門家に質問する術を模索してもよいのかもしれません。

自分の興味あることを深く知るために
どんな手段があるかを紹介したり、サポートするのも
大人の大切な役割だと思います。


ゴーイングアウトの計画から実行まで
一連の流れを経験しても、
本人がイメージするゴールには辿り着けないかもしれません。

それでも、
自分自身の興味・関心が起点になっていれば

そのプロセスには
何ものにも変えがたい学びが詰まっています。


大人も一緒に探求する姿勢を見せ続けながら
学びのプロセスの楽しさを共有していくことが、

児童期の子どもたちと向き合う上で
最も大切なことなのではないかと思います。