2021年9月 イヤイヤ期を楽しむ方法

自己主張ができるようになってきたお子さまが、なんでも「イヤ」「自分でする!!」の一点張りでストレスを抱える保護者さまも少なくない、俗にいう「イヤイヤ期」。オリンピックの頃には、Twitterでも「2歳児ピクトグラム」に共感が集まり話題になりましたね。
でも、モンテッソーリ教育について学んだ方は「宝のイヤイヤ期」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
今回は、「イヤイヤ期」を楽しむヒントについてのお話です。

イヤイヤが始まるのはなぜ?

「眠い」「お腹が空いた」などの生理的不快、
言葉で思うように気持ちを伝えられないもどかしさ、
自分でやりたいのにできずに悔しい気持ちなど、
理由が想像しやすいイヤイヤもありますが、
多くの場合が、
本人も何がイヤなのかも自覚できずにイライラしています。

お散歩の時に、
あえていつもとは違う道を選んだら怒り出すなど、
感情表現が豊かになってきた証
というだけでは説明がつかない、
「一体何がイヤなの!?」と不可解なものも多く、
ひとたびイヤイヤスイッチが入るとどうにもこうにもお手上げ状態になってしまいますね。

理由が分かれば対処もしやすくなるものです。

そのときのヒントになるのが、
この時期特有の「秩序の敏感期」です。

生きるための羅針盤「秩序の敏感期」

いつもと同じ場所、
いつもと同じ順番、
いつもと同じ向き・・・

それが整っている環境だと、
子どもの気持ちは安定しています。

それは、目の前の環境を理解できると、
世界の中にいる自分の位置付けが捉えやすいからです。

裏を返すと、
自分の秩序を乱されると、
見知らぬ世界に放り出されるような
不安な気持ちが生じるということ。

これは、
生きるための羅針盤を取り上げられるようなもの
だからこそ、
必死でそれを守ろうとしてかんしゃくを起こしているかもしれないのです。

大人にとって厄介なのは、
子どもの中にある「内的秩序」は
子どもが自ら形成するので
分かりにくいことかもしれませんね。

原因不明のイヤイヤを目の当たりにしたら、
まずは「いつもと何が違うかな?」
という視点で対応することをお勧めします。

内的秩序は、知性を育む土台の形成につながっていきます。

お片づけの意識を育むチャンス!

いつもと違うことに敏感なのは、
大人にとっても悪いことばかりではありません。

いつもと同じが心地よい時期にこそ、
お片づけの意識を自然に身につけやすいとも言えます。
普段使うおもちゃ、
大好きな絵本など、
いつも同じ場所にお子さま自身が戻せる工夫をしていただきたい時期です。

小さなトレーやカゴに乗せると、
両手で持って運ぶことができます。

見やすいように整然と並んでいると、
元の場所にも戻しやすいです。

出しっぱなし、やりっぱなしで
イヤイヤが発動してしまったとしたら、
自分でお片づけしにくい要素がどこかにあるはずです。

お子さまをよく観察して、
困難な部分はサポートするのは大人の役割です。

ひとりでできるようにサポートする

イヤイヤの理由の一つに
「自分でする!」という意欲の空回りもありますね。

少しずつ、自分でできることも増えてきて、
やりたいことをイメージできるようになってきたのに、
いざやってみるとできない、
思った通りにならないというもどかしさから起きるイヤイヤです。

代わりにやってしまうのは簡単ですが、
それではいつまで経ってもできるようにはなりません。

代行に慣れてしまうと、
「やって!」と誰かに依存するようになってしまうこともあります。

やはりこのときにも、
お子さまを観察することを起点に、
困難な部分は何かを見つけ、
そこだけサポートすることを心がけてくださいね。

よい塩梅のサポートとは

その子の発達段階によって、
サポートの仕方も大きく変化します。

基本的な手や身体の動作獲得段階のお子さまには、
難しい動作の一部は手を添えた方がよいことだってあるでしょう。

細かな操作ができるように洗練させる段階のお子さまには、
間違いを自分で気づけるような環境を用意して、
口出しせずに見守ることが必要です。

もし、お子さまができそうなことも
「やって!」と何でもかんでもお願いしてくるのでしたら、
手伝いすぎかもしれません。

甘えたいだけかもしれないので、
ぎゅっと抱きしめてから
「自分でできるって信じているから、見ているね!」
と伝えてみてもよいと思います。

また、難しそうな一部分だけはゆっくりとやって見せて、
最後の仕上げは自分でやってもらうということから始めるのも一案です。

いずれにしても、
唯一無二の答えはありません。

保護者さまが試行錯誤している姿を見て育つお子さまは、
無意識的に学び方を学んでいるのですよ!

プロフィール

ママヴィ 代表|桑原 眞理子

大学卒業後、食品メーカーを中心に商品開発·マーケティング職に従事。
「こども哲学」との出会いをきっかけに子どもの斬新な発想に魅せられ、子どもの力を社会に届けたいという想いからモンテッソーリ教育を学ぶ。
子どものマーケティング思考を育む6歳からの体験型キャリア教育プログラム「こどもマーケター入門」を開発し、ワークショップ等を開催。現在は「モンテッソーリ教室 マヴィのおうち」を拠点に、マーケティング思考で自ら変化を起こすチカラを育む環境づくりに取り組む。
・日本モンテッソーリ教育総合研究所認定 3-6歳教師
・保育士
・NPO法人こども哲学 おとな哲学 アーダコーダ 理事(哲学対話ファシリテーター)
・日本野菜ソムリエ協会認定 野菜ソムリエプロ

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