2021年11月 お誕生日は学びを深めるチャンス

マヴィのおうちでは、夏から秋にかけてお誕生日を迎えたお子さまが続きました。
モンテッソーリ教育では、お誕生日に独特の「セレモニー」があります。
自分の、そしてお友だちの、年に一度のお誕生日を楽しみながらキンダークラスの子どもたちと一緒に、マヴィのおうち流の「お誕生日セレモニー」を進化させています。
今回は、プレゼントを貰ったり、お誕生日ケーキを食べてお祝いしてもらうだけではない、お誕生日を学びにつなげる楽しみ方をご紹介いたします。

お誕生日ならではの体験

お誕生日セレモニーには「地球儀」と「キャンドル」を使います。
このセレモニーで体験するのは、
地球が一年かけて太陽の周りを一周する「公転」、
自分の年齢と、地球が太陽の周りを一周することを結びつける体験なのです。

マヴィのおうちでは、
黄色のお皿の上に歳の数だけ「キャンドル」を並べています。

お誕生日のお子さまが地球儀を持ち、
白いテープの軌道をゆっくりと歩きます。

キャンドルの周りを一周する毎に火をひとつ消し、
1歳・2歳・3歳・・・とお誕生日を振り返ります。

そして、お子さまの年齢分のキャンドルの火が消えたら、
みんなで「ハッピーバースデー」を歌います。

マッチで火を付ける様子を見ながら息を呑む子どもたち。
みんな静かに羨望の眼差しを主役に向けています。

回を重ねる毎に、
年長の子が率先して
準備を手伝ってくれるようになり主役でも、
脇役でもみんなが大好きなイベントになっています。

知識の前に作業を楽しむ

マヴィのおうちでこのセレモニーを行うのは、
キンダークラスです。

早い子で3歳のお誕生日から体験することになりますが、
最初は「公転」のお話をされてもピンときません。

歳を重ねるにつれて地球は太陽系の仲間であることや、
太陽を一周して1年ということなどにも興味が向いてきますが、
3〜4歳の子にとっては、
「キャンドルの火を消す」ことの方が興味深いケースがほとんどです。

モンテッソーリ教育において
「動きながら学ぶ」段階にある幼児期は、
作業を重視しています。

「公転」という知識を教えるのではなく、
楽しい体験を通して興味の種を撒くという意味合いで実施しています。

「お誕生日ありがとう」

キンダークラスは親子分離を基本としていますが、
最近になって、
お誕生日セレモニーの時だけは
主役の子の保護者さまにも任意で参加いただくようになりました。
そして、セレモニーの締めくくりに、
1年間の成長プロセスをまとめたカードを
お子さまから保護者さまにプレゼントしてもらっています。

つい先日、こんなことを言ってカードを渡した子がいました。
「お誕生日ありがとう!」
お誕生日が、
大好きな周りの人たちに「ありがとう」という気持ちを伝える日になるのは素敵なことですね。

それから、マヴィのおうちのお誕生日セレモニーの合言葉になりました。

子どもの理解の時間軸

目の前の体験から何を学び、
何を理解したかを意識しすぎる必要はありません。

今は「自分でやってみたい」とか、
「楽しい」と感じているだけの活動であっても、
しばらく経ってから
何かのきっかけでようやくその時の活動の本当の意味を理解し、
吸収するようになることも多いと考えられています。

本当の意味で「理解する」とは、
様々な観点から物事を捉える経験を積み重ねることで、
興味以上の高次元の満足感を得ることではないでしょうか。

大切なことは、
今目の前のその子が自分の意志で活動を選び、
楽しんでいるかどうかです。

プロフィール

ママヴィ 代表|桑原 眞理子

大学卒業後、食品メーカーを中心に商品開発·マーケティング職に従事。
「こども哲学」との出会いをきっかけに子どもの斬新な発想に魅せられ、子どもの力を社会に届けたいという想いからモンテッソーリ教育を学ぶ。
子どものマーケティング思考を育む6歳からの体験型キャリア教育プログラム「こどもマーケター入門」を開発し、ワークショップ等を開催。現在は「モンテッソーリ教室 マヴィのおうち」を拠点に、マーケティング思考で自ら変化を起こすチカラを育む環境づくりに取り組む。
・日本モンテッソーリ教育総合研究所認定 3-6歳教師
・保育士
・NPO法人こども哲学 おとな哲学 アーダコーダ 理事(哲学対話ファシリテーター)
・日本野菜ソムリエ協会認定 野菜ソムリエプロ

関連記事

PAGE TOP