23年2月 考える力の育み方

グローバル化や科学技術の急速な進展などを背景に、これからの社会を見通すことは難しくなっています。
ここ数年のコロナ禍の混乱は、まさにその典型例といえるのかもしれません。

2020年から始まった新学習指導要領では「考える力」の育成が特に重視されています。
では、考える力を育むためにどんなことを意識したらよいのでしょうか。

そもそも「賢い」ってどういうこと?

一昔前までは、フレームワークを熟し、
パターン化された思考ができることを「賢い」と言われていたように思います。

記憶することが得意だと、テストでも良い点が取れるし、
効率的にフレームワークを熟すことができる
かもしれません。
今までは、それが「賢い」と思われてきました。

今までは過去の経験からある程度推測できていたことも
想像以上の速さで物事が変化していく今、
予測することは非常に困難になりました。

それは、
チームで時間をかけて議論をして結論を出すよりも、
一人一人が自立して素早く判断し、
動いていくことが求められる時代になったということです。

つまり、現代求められる「賢さ」は
自分で考えて、
自分で判断し、
自ら行動できることなのです。

自己教育力は、考える力の源

子どもには、
自分で自分を発展させる力が備わっています。

何でも自分でできるようになりたくて、
自分の行動の主役になりたくて、
目の前の世界に手を伸ばし、チャレンジして、
試行錯誤に夢中になります。

生まれてからしばらくは無意識に情報を吸収し、
3歳ごろから意識が優位に働き、
環境からの情報を整理し始めます。

無意識の段階のお子さまに対して、
まだ何もできないから、
誰かがやってあげなきゃいけないから、
かわいそうだからと、
先回りして何でも大人がやってしまうと、
受け身で生きることが当たり前だと学んでしまいます。
自己教育力を発揮しなくても、
何不自由なく生きていけるからです。

思うようにいかないこと、
うまくできないこと、
失敗することに対して、
どうしたらできるようになるんだろう?
と、考える必要がなければ
試行錯誤の楽しさを知りません。

いつの間にか、自分で考えるよりも
誰かがやってくれることを待つだけになってしまいます。

もし、
「◯◯つくって」「◯◯やって!」と、
自分でやろうとしない場合は、
周りの大人がやり過ぎているのかもしれません。

自分でできるようにサポートすることは、
代わりにやってあげることではない
んですね…
このさじ加減が難しいと感じる方が多いように思います。

お子さまが「自分で考える」を促す
3つの態度

1.  小さな「どうして?」にも向き合って、一緒に考える

小さな子どもたちは、目の前の世界のありとあらゆることに対して
「何で?どうして!」と知りたがっています。
大概が、大人にとって取るに足らないような些細なことに
立ち止まって向き合っている人たちです。

それは、必ずしも答えを聞きたい訳ではありません。

何となく答えが思いつくなら、
「私はこう思うけど、あなたはどう思う?」
と問いかけてみるとよいかもしれません。

考えたこともないくらい突拍子もない問だったら、
「何でだろうね?一緒に調べてみようか?」
と、立ち止まって問いに向き合ってもよいかもしれません。

2.  大人の正解を押し付けない

大人になるということは、
経験から学び、柔軟性がなくなっていくことなのかな?
そんなことを考えることがあります。

私たち大人が思っている常識は、
本当に正しいのでしょうか?

子どもたちからの問いかけは、
時に、私たち大人に
違う角度で世界を見るヒントをくれます。

そのヒントを活かせるかどうかは、大人次第です。

そして…
子どもの些細な問いに耳を傾け、
立ち止まって一緒考えてくれる大人の姿を見た子は、
じっくり考えることに前向きです。

3. 急かさず、その子のタイミングを待つ

大人の生活スピードは、
子どもの体感だと8倍速くらいだと言われています。

言い換えると、
子どもは大人の8倍ゆっくり生きている
ということです。

一生懸命取り組んでいることを急かされると、
集中できないのはきっと大人も同じこと。

頭の中で考えるということは、
非常に抽象的な活動です。
幼児には、時間がかかるんです…

「早くしなさい」
「まだできていないの?」
「いつまでモタモタしているの?」

言われ続けていたら思考停止に陥ってしまうことは
想像に難くないのではないでしょうか。

ものごとが目まぐるしく変化している時代に、
「待つ」ことは、
大人にとって簡単なことではありません

時代に逆行するような態度が、
子どもの考える力を育むとは何とも皮肉ですね。

でも、目の前のその子自身で考えて、
その子のタイミングで行動する姿を、
少しだけ待ってみてください。

「待つ」ことができれば、
その子のほんののわずかな変化・成長に気づきやすくなりますよ

プロフィール

ママヴィ 代表|桑原 眞理子

大学卒業後、食品メーカーを中心に商品開発·マーケティング職に従事。
「こども哲学」との出会いをきっかけに子どもの斬新な発想に魅せられ、子どもの力を社会に届けたいという想いからモンテッソーリ教育を学ぶ。
子どものマーケティング思考を育む6歳からの体験型キャリア教育プログラム「こどもマーケター入門」を開発し、ワークショップ等を開催。現在は「モンテッソーリ教室 マヴィのおうち」を拠点に、マーケティング思考で自ら変化を起こすチカラを育む環境づくりに取り組む。
・日本モンテッソーリ教育総合研究所認定 3-6歳教師
・保育士
・NPO法人こども哲学 おとな哲学 アーダコーダ 理事(哲学対話ファシリテーター)
・日本野菜ソムリエ協会認定 野菜ソムリエプロ

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