2022年8月の台所モンテコラム

★2022年8月1日★

お水を使った手しごとのすすめ

夏は水遊びの季節ですね。
日常生活において、手を洗ったり、コップに入れて飲んだり、ものを洗ったりと身近な「水」。
触ると冷たくて気持ちよいし、キラキラと見た目も綺麗で、小さなお子さまにとっては五感を刺激するとても魅力的な素材です。
「すくう」「注ぐ」「あけ移す」「色水を混ぜる」など、目の前にいるお子さまの今の発達にぴったりあった環境を用意すれば、集中して取り組みます。
「夏はプールで水遊び」もよいのですが、幼児期のお子さまが日常生活の主役になるために大切な運動について、今の季節にぴったりな「水」を使ったおしごとを軸にお話させていただきます。

自分でコップを持ってお水が飲めるようになった頃、何度もコップをひっくり返される経験をされた方は多いのではないかと思います。
お水だったら濡れるだけで済みますが、牛乳だったら臭いが気になるし、ジュースだったらシミが気になるし、そもそももったいないし・・・大人だったら、やめさせたいと思うのが自然かもしれません。
でも、ここで少し立ち止まって考えてみましょう。

なぜひっくり返すのでしょうか?

目の前にいるその子を観察することからしか理由は導けないのですが、まず考えたいのは2つです。
①自分でお水を注ぎたい(運動の敏感期)
②液体の感覚(見た目、感触、温度)が楽しい(感覚の敏感期)

コップをひっくり返す時期は「注ぐ」という動作を獲得している時期であることが多いです。
手首がぐらぐら不安定だと、思うように注ぐことができません。
この動作を獲得することが本当の目的だったとしたら、インゲン豆など大きなものを「注ぐ」という活動に夢中になって取り組むと思います。

とはいえ、液体の感覚が魅力的で替えが効かないかもしれませんね。
水道が大好きなことも多いこの時期。水道代がバカにならないくらい、ずっと流れるお水に触れて楽しんでいるなんてお話もよく聞きます。

それならば、給水マットを敷いて、その中でお水をあけ移すことができる環境を用意するのがベストだと思います。
特に夏の時期は、お水のあけ移しはおすすめです。

手で持てるサイズのカップを2つ用意して、あけ移し方をゆっくりとお見せすることがポイントです。
「このお水は移してよい」と決めたら、あとは手出し口出しをせずに見守りましょう。
最初は、沢山こぼしてあっという間にカップは空っぽになると思います。
何度も何度も繰り返すうちに、こぼさず注ぐことができるようになっていきます。

安定してきたら、1回で飲む分のお水を小さなピッチャーに移して、自分でコップに注ぐ環境を作ってみてください。
自分でできた!という体験につながります。

カップからカップへ「注ぐ」、ピッチャーからカップへ「注ぐ」、細い口の容器に「注ぐ」、線まで「注ぐ」
「注ぐ」という動作ひとつとっても、難易度は様々ですね。
難易度は、少しずつ上げていきます。

お玉やスプーンなどで、すくって移す方法もあります。

スポイトで移す方法もあります。

スポンジに給水させて、絞って移す方法もあります。

少し難しいけれど、頑張るとできるギリギリの難易度のものを用意すれば、何度も何度も繰り返し集中します。
この時、こぼすのは当たり前です。こぼしていたとしても、チャレンジを続けている時に手を出したり、声をかけるのは邪魔以外の何ものでもありません。

汚れることはある程度覚悟する必要がありますが、食紅などを使って、お水を着色すると・・・
お水の魅力はさらに高まります。

赤・青・黄の三原色の色水があれば、様々な色を作ることもできますね。
色水の混色は、3歳以上のお子さまが大好きなおしごとです。

月齢が上がると、色味を調合することを楽しむようにもなります。
調合を楽しむようになったら、着色された油と組合せてボトルに入れて作るアートも人気です。

日常生活で度々触れ合う「水」だからこそ、その魅力を楽しめる環境づくりを大切にしたいですね。

オンデマンド講座「夏におすすめ!モンテッソーリで学ぶ お水を使った手しごとのすすめ」にて
具体的な活動事例もご紹介しております。