2020年11月の台所モンテコラム

★2020年11月1日★

スモールステップで巧緻性を育む

「巧緻性」とは、手先の器用さ、手指を自由に使いこなす力のことです。

指先は「第二の脳」とも言われているくらい末梢神経が集中しているため、指先を使うことは脳の発達に密接に関わっています。

小学校受験では以下のような「巧緻性」を見る試験が課せられることも少なくありません。

「切る」「貼る」「折る」「塗る」「結ぶ」「巻く」「通す」「丸める」「包む」「ちぎる」

大人からすると難なくこなせる基礎的な活動も、小学校入学前の幼児にとっては簡単なことではありませんね。少しずつ練習を重ねて、できるようになっていくプロセスが求められます。

「巧緻性」を育むことの大切さは、受験のためだけではありません。

手指の「巧緻性」は、小学校入学以降の学習への取り組み意欲に関連するという報告もあるのです。

学習を楽しむためにも大切な「巧緻性」は、幼児期から無理なく育みたいですよね。

離乳食が進んでくると、少しずつ「手づかみ食べ」が始まりますね。

視覚で捉えた食材を手でつかみ、硬さや感触、温度などを感じながら「一口の量」や「噛む力加減」などを身につけていきます。汁ものをひっくり返したり、食べるものを投げたりと困った行動も多いこの時期ですが、自由に動く手を準備している姿ですので、見守ってあげたいものです。

一方で、「手づかみ食べ」が大切といっても、無理強いは禁物です。

「手づかみ食べ」が苦手なお子さまは、手に食材がくっつく感覚が苦手な場合も多いようです。

ご飯はのりを巻いてスティック状にしたり、柔らかいお野菜スティックを用意するなど、どんな工夫をしたらお子さま自身が進んで「手づかみ食べ」を楽しめるか、色々と試してみてください。

一番大切なことは、親子で楽しむことです。

試行錯誤しながらお子さまとコミュニケーションを深めることが、安心・安全の基地の土台となります。このとき、「手指を使わせる」という気持ちではなく、どんな活動だったらお子さまが進んで手指を使いたがるかを最優先に考えてみることがポイントです。

「パパやママのようにお箸が使えるようになりたい」「ボールペンを使いたい」と、お道具を使うことにも少しずつ興味が湧いてきます。

最初はうまく使えずにイライラしたり、危険な使い方をして怒られたりと、お道具の取り扱いに親子でストレスを感じる時期かもしれません。

こんなときは、少しずつお子さま専用のお道具の準備を始めてみましょう。

持ちやすいバターナイフと、小さなまな板があれば、「おやつのバナナを自分で準備する」環境を整えることができます。

「自分でする!」という意欲に満ちたお子様にとって、自分で切ったバナナは格別の美味しさのようです。

最初は、二人羽織のように後ろからそっと手を添えて、自分で切る感覚を味わってもらうところから始めましょう。

体の発達は、内側から外側に向かっていくため、最初は肩を動かして切ろうとするかもしれません。肩・肘・手首の順に安定していくプロセスを感じて、お子さまの変化を楽しんでください。

手指が洗練されるのは、手首が安定してからです。焦らず、ゆっくりとお子さまのペースを見守ってくださいね!

201101バナナを切る_イメージ画像

バターナイフを選ぶポイント

長すぎず握りやすい持ち手のもの、ナイフの刃とみねが見た目でわかりやすいものがおすすめです。

バターナイフ用のまな板を選ぶポイント

大きすぎず、適度な重さと厚みのあるもの、運びやすくしっかりとしたものがおすすめです。

オススメのまな板:木製カッティングボードS(ボヌール)

プロフィール

まーりんコラム

モンテッソーリ教室 マヴィのおうち

代表 桑原眞理子

 

・日本モンテッソーリ教育綜合研究所認定 3−6歳教師

・日本野菜ソムリエ協会認定 野菜ソムリエプロ     

大学卒業後、食品メーカーを中心に商品開発·マーケティング職に従事。「こども哲学」との出会いをきっかけに子どもの斬新な発想に魅せられ、子どもの力を社会に届けたいという想いからモンテッソーリ教育を学ぶ。幼児期の経験がその後の人生の基盤となることから、モンテッソーリ教育のエッセンスをご家庭に楽しく取り入れていただくための情報発信・コミュニティづくりに取り組む。